2011年4月5日火曜日

様々な単位について(1)

タイピングの打鍵速度を表す単位には様々なものがあり、中には定義や用法が混乱しているものもあります。
そこで今回は、一分あたりの入力数を表そうとするいくつかの単位について、少しまとめてみようと思います。

キーワードリスト(How To Become A Typer)に十分解説されていますが、追記したいこともあるので焼き直しも含めて書いていきます。


[日本のタイピングゲーム]

WPM - e-typing
この訳の分からない単位(の使い方)が多くのタイパー達を混乱させてきた。
words per minute(1分あたりの入力単語数)を表す単位かと思いきや、e-typingではWPMが1分あたりの入力キー数を表している
普通WPMと言えば1分あたりの入力単語数(ただし注意点はある、後述)を表す単位のはず。
How To Become A Typerでも指摘されているように、この意味でWPMを使うべきではないと思う。

SPM - タイプウェル憲法
strokes per minuteの意で、1分あたりの入力キー数を表している。
これは現在タイピング界で一般的に使われているKPM (keystrokes per minute)や、上述のWPM (e-typing用法)と同じもの。
タイプウェル憲法内では、strokes/mなどと書かれたりもしている。

また、タイプウェルR,E,Oなどでは1分あたりの入力数は単位無しで"Speed"として表示される。
Kについては面倒な問題があるので後述。
その他は調べていない。


[KPM - ローマ字入力]

KPM (keystrokes per minute)
一分あたりの入力キー数という意味では、日本のタイピング界では概ねこの単位が使われているようだ。
入力文字数ではなく、単純に「1分間にどれだけのキーを入力できるか」を表す単位。
日本語ローマ字入力においては何の問題(定義ブレや単語の本来の意味との乖離)も無く使える言葉だと思うので、これを積極的に使っていきたい。


[KPM (SPM)の定義揺れ問題]


ローマ字入力の場合、KPMという単位を使うことに問題は無い。
しかしカナ入力や英語入力などについて考えると、非常に厄介な問題が出てくる。

・例えば英文(シフト入力)の場合
1分間で"This"という単語を入力した場合、4文字だから4kpmとなるのか、それともシフト入力を含めて(当然シフトもキー入力なのだから)5kpmとなるのか?
現在の主流はシフトキー入力は1keyに数えない用法で、上の例では4kpmとなる。
ただしやはり厳密な用法とは思われないので、CPM(後述)という単位が用意されている。
(ちなみに、スペインではシフトキーやアクセント記号入力も1keyと数え、厳密なkpmで入力速度を競っているらしい。
日本や英語圏でこの方法が広まるとは思えないが、一部での導入を考えてみる価値はあると思う。)


・カナ入力の場合
「げんざいおよびしょうらいのこくみんにあたえられる。」
これは何keys(TW憲法においてはstrokes)として扱われるのか?
TW憲法の場合は「げ」「ざ」「び」は2keys、「しょ」は2keys、「。」は1keyとなるが、これはKPM(SPM)の定義に対して厳密なものではない。
「しょ」を入力するには[し]-[Shift]-[よ]の3keys、「。」にも[Shift]-[。]の2keysを要するからである。

個人的にはTW憲法の基準はカナ入力の打鍵速度を評価するには適したものだと思うが、SPMという単位を用いるのは適切なのだろうか……。
とは言っても、タイパーの側からちゃんと今使われている単位の意味を知ろうとすれば、それで問題無いとは思う。

また、その他の日本語入力形式でも1keyと1文字(もしくは1アルファベット)が対応しない場合は多い。
こういう場合にどう競うかという点も今回のテーマに密接に絡んでいる気がするが、配列には疎いので置いておく。


[WPM]

WPM (words per minute) - 一般的な用法
e-typingの場合とは違って、WPMは「1分あたりの入力単語数」を表している……と思われているが、実は違う
厳密に「1分あたりの入力単語数」をカウントすると、単語の長さに違いがあるため、正確なタイピング速度が把握できない。

(例) I like cats. と I dislike cockroaches. は同じ3wordsだが、keysに直すと12keysと22keysで倍近い違いがある。

よって一般的には、実際の単語数とは関係無く、スペース・カンマ・ピリオドなども含めた5文字を1wordとしてWPMを算出している
英文タイピング以外ではほとんど関係の無い話だが、これを誤解していると結構色んな問題が生まれるので、気を付けるべきだと思う。

ちなみに(例)の場合、I like cats.は2word、I dislike cockroaches.は4wordと換算される
余り2keysをどう処理しているのかについては調べがつかなかった。
切り捨てずに0.4wordsとして処理してくれていると個人的には嬉しいが、実際のところはどうだろう。
そこまでいくとソフトやサイトごとに好き勝手やってるのではという気はするが。

(参照)
 wikipedia - Words per minute (TypeRacerからリンクされていたので、実際にWPMの定義としてタイパーに参照されていると思って問題無い……はず)
 Das Keyboard Blog - Typing Speed Explained


[CPM]


CPM (characters per minute)
英語圏のタイピング界で、日本におけるKPMのように使われている単位がこれ。
これは見たまんま「1分あたりの入力文字数」で、とても明快なありがたい単位。
「文字数」ということなので、アポストロフィや大文字なども1character(以下c)として扱われる。
CPMが英語以外の言語に適用された場合は、もちろん厳密に1文字=1cとなるだろう。
日本語なら「げ」は1c、「しょ」は2c、「。」は1c、「轟」でも1c。

英文入力においては非常に分かりやすいこの単位だが、大文字(2keys)を1cとして扱う、他言語において数keys要する文字も1cとしてしまうことなどから、やはり議論は起きている。
例えばTypeRacerのフォーラムでは、ドイツ語を母語とする人が「ウムラウト(文字の上に点がついてるアレ。入力に2keysを要する)も1cとして扱われるのは不公平だ」と主張している。
ここでは「そうは言ってもしゃーない」という感じで議論が収束していて、個人的にもそう思う。
しかしこういう単位や言語や入力方式の違いについてもっと敏感になれば、別の国に所属するタイパー達の相対的な打鍵力を比較するのに役立つのでは? とも思う。


[まとめ]

・KPMが何を表しているか常に気を付けよう
・WPMにおける"word"は"5 characters"のこと
・色んな単位に敏感になればタイピングをもっと楽しめる気がする


長くなりましたが以上です。
単位に関する話は非常に面白いですね。面白いですよね?
ということで、その内続きを書く予定です。

2 件のコメント:

  1. おもしろいです

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  2. >匿名さん
    その優しさが胸に沁みます……。
    普段更新をサボってる癖に、いざ書くとなると暴走しちゃうんですよね……。

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