『乱打 meets 正確性 feat. 速度』


更新ペースで打ったらノーミスになりませんか?

 - たのん
乱打で何が悪い! 
例えミスが50でも90でも出ようと、更新できればそれが記録
 - cocoa

久しぶりの投稿です。

先日、第8回タイピングサミットに参加してきました。
そのレポートは後日(書けたら)上げるとして、
今日は、タイピングサミットでのイベントに触発されて行った、ニコ生企画を記事にしてみます。

サミットでのパネルディスカッション(ニコ生配信されています。タイムシフトはこちら)内で、「TWのミス制限練習」が議題になりました。
「乱打」と「正確性」について色々と意見があったのですが、特に印象に残ったのが、先程引用した2人のセリフです。

「正確性タイパー」と「乱打タイパー」、どちらが強いのか?
この疑問に始まり、議論の尽きない「正確性 vs 乱打」という話題。
「どちらを主張する側にも頷くところがあり、どちらが良い、悪いというものでもない!」と言ってしまうのは簡単。
でも、それって思考停止……というか、つまらないですよね。

正確性って何? 乱打って何? 正確に打つ意味って何? 乱打のメリットは?
「色々な論点を整理して、練習の方針作成に活かしたい!」 という思いと、
「俺もタイピング論を語り合いたい!」という思いから、

ニコ生配信で、「正確性」と「速度」について思いの丈を語りながら、視聴者から色々と意見やアイディア、反論、ツッコミをもらい、論点を整理して記事をまとめていく! という企画を行いました。
※1週間ほどの間、こちらのコミュニティからタイムシフト(録画)を視聴できるようです。
【ニコニコミュニティ】うっしゃああタイピングするぞおおおお



さて、それでは配信中に話し合った内容をまとめていきます。読みにくいけど許して!

まず、正確性と乱打に関しては色々な考え方があると思いますが、4つに整理してみます。
そのうち、考え方0は話が複雑になりますし、考え方3は美学・拘りの問題になりますので、今回は排除してみます(否定するわけじゃありません)。※わざと大雑把に整理しています。これらの考え方それぞれに反論していく中で、正確性と乱打について考察を深めていきましょう。

考え方0「(TW以外の種目では)ミスすると点数が減るんだから、ミスは減らすべきだ!」

考え方1「(TWに関して言えば)速ければそれでいいのだから、乱打でも構わない!」

考え方2「(TWではミスは記録に関係無いとはいえ、)ミス=無駄。減らすべきだ!」

考え方3「そもそもミスしてるようじゃ駄目。ダサい。とにかく減らすべきだ!」


― う~ん。どちらも納得のいく意見に思えますが、立ち位置が曖昧な気がします。

◆そもそもの目的は?
まずは、そもそも何を目指しているのか決めておかないといけないでしょう。
TWに関しては(他の競技でもそうですが)、「記録の向上」が全てです。

「記録の向上」とはどういうことでしょうか?
「正確性」「ミス数」が「記録」に入らないことはその通りですが、じゃあ速度が至高ということでしょうか?
確かにそうなんですが、7ラップの間ずっと速度が高くても、8ラップ目で詰まったら意味がありません。
至上目的は「記録の向上」であり、速度・正確性・安定性、その他色々をかけ合わせて、「とにかく記録を更新できること」が重要となります。
つまり、「乱打」も「正確性」も「安定性」も、「速度」すらも、何もかも、記録を出すためのツールであり、それ自体に価値は無いということが言えます。


― でも、そもそも、「正確で、かつ速い」タイピングができれば最高なんじゃないでしょうか?

「正確性」と「速度」はトレードオフの関係にあるのか?
速度を上げれば正確性が下がる ←→ 正確性を上げるためには速度を下げなきゃ

という、当たり前に言われるトレードオフ……、本当にそうなんでしょうか?

短期的にはその通りでしょう。
今すぐ正確性を上げようと思ったら速度を下げなきゃいけないし、今すぐ速度を上げようと思ったら正確性を下げないといけません。
※いや、前者はいいとして、正確性を下げたからと言って速度が上がるかというと微妙かな?

しかし、長期的には、ちょっと話は複雑になってきます。
cocoaくんはパネルディスカッションの中で、「とにかく乱打で速度を上げてから、正確性が必要なら後で上げればいい。正確性は後からついてくる」と話していました。
逆に、「正確性の高い打鍵(≒無駄の無い打鍵)を身に着けた方が速度が上がる」という考え方も有り得ます。
単なるトレードオフではなくて、どちらがどのくらい重要なのか、どの時期にどれを伸ばすのが良いのか、など、複雑な関係がありそうです。


◆ミスにも色々ある
ぷるぷる・・・ボクわるいミスじゃないよ!
1. ミスと言っても、速度が落ちないなら別に良いんでは?
 - 詰まってしまうミス(ex. aを打とうとしてzを打ってしまうとか)は、もちろん言語道断ですが……
 - 詰まらない(=速度に影響しない)ミス(ex. aを打とうとして、zaと打ってしまうとか)は別に悪くない?
 →詰まっていないとしても、時間的にはロスしてるんでは?
 →そもそも、ミスが出るような動きは、無駄があるのではないか?
  (動きの無駄が、結果としてミスに表れているんでは? →だから減らすべき!)

2. 「ミスを前提とした最速の打鍵」ってのもあるのでは?
    ex)muを打つ際にm→(jを巻き込みu), pinpon(打ちにくい!)→poinpoin(打ちやすい!ほぼ2ストローク感覚!超速タイパーしろこさんの提案。
 →「ミス」をとにかく悪者!と捉えてしまうと、視野が狭くなり、運指の可能性を狭めてしまう!?


◆正確性タイパーって?乱打タイパーって?
 - 乱打タイパーとは…しろこさん「ミス数というより『速度に影響しないミス』を許容してる人」
   →ミス2桁でタイムロス0.1秒なら、洗練された、無駄の無い打ち方(美タイピング)と言えるのでは?
 - 逆に言えば、ミスをすることでタイムロスがあるようでは、乱打タイパーとしてもまだまだ未熟と言える
 - ミスどうこうより、「タイムロスを減らす」ことこそが重要
  →ただし、そのための分かりやすい指標として「ミスを減らす」ことを目指すのは恐らく有用?


◆ミス制限練習 意味あるの? +はポジティブ意見。Nは中立。-はネガティブ意見。
 + 指さばきを覚えこませるのに最適
 + ワードとの対話が促進される(あやふやな運指のワードは制限かけないと潰せない)
 ※例えばノーミス制限をしてる時に、pinponが出てきて、ビクっとしてすぐに打てなかったら、それはpinponというワードとの対話が足りていない(pinponという文字列に対応する的確な指さばきが頭に染み込んでいない)
 + (速度が下がるので)先読みを意識して打てる
 + 無理なく加速できるところが掴めてくる(ワード、打鍵動作毎の速度調整の練習)
 ※これ、個人的に重要だと思う!

 N 集中力トレーニング
 N 意識して正確性を上げられない人はやるべき、強制的に落としてくれるから
  →「今正確性練習やってるぞ」っていうスイッチになる

 - 強制終了されるので詰まってからのリカバリ練習ができない
  →リカバリを要する状況ってそもそも最高記録にならないからTW的に無意味では?
 - poinpoinの練習はできない(ミスを許容or利用した打ち方の練習ができない
 - 指を動かす速度が落ちる
 - ミスしそうになると減速する癖がついちゃう
 - 精神的ストレス。人によってはモチベが削られる ex)ミス制限が嫌で国語Kをやめちゃったcocoaちゃん(かわいい)


◆逆に、ミス制限練習の乱打版(強制的に速度を要求される練習)ってあるのか?
 - 歌謡(決まった速度以上で打たないといけない、ミスは基本関係無し、固定文)
 → そのおかげか、歌謡タイパーはとにかく速度が速い! 常用が物凄い速かったりとか。
 - 固定短文練習
 - 溜め打ち練習(WTなど)
 - 自分のリザルトとか、自分(他人)のリプレイを見ながら練習
 - 詰まったラップをFTで練習(ワードじゃなくてラップ単位なのが個人的に重要!)

(上記のような練習のメリット)
 - WTで指の動きがスムーズになりTWに活きた経験(文章は違っても単語単位で見れば共通だから?)
 - 違う文を打つことで感覚がリセットされる
 - 速度感が変わる(高速道路の後で一般道が遅く感じる)


◆ミス制限練習以外に、ミスを少なくするための練習ってあるのか?

(正確性への意識を高めるための方法として)

 - 普通に(自分にとって)適度な正確性を意識して打つ
 - Top99の平均ミス数を下げていく(ある程度の速度を保ちつつ正確性を上げる訓練)
 ※テルおすすめ! 楽しいです。ミス制限よりハードル低いし
 - TODなど正確性が要求されるソフトを打つ(ノーミスを出したら褒めてくれる彼女を作る)
 - 目標インジケータを使って、一定ペースを維持して打つ
 - EscとBSキーに画鋲をつける

(正確な認識・組立・動作を練習する方法)

 - 最適化を行う
 - 最初の文字を意識していつもよりゆっくり入る(溜め打ちで正確な指さばきを意識)
   →(派生)先読みが間に合う速度で打つ
  →(派生)ワードの打ちやすさを先読みの段階で判断する
 ※個人的に、この練習を知ったのは今回の配信で一番の収穫! 溜め打ちで速度を上げるのは当然だけど、溜め打ちで正確な指さばきを意識した練習をするのは目から鱗だった!
 - ミスした単語を合間に練習
 - 前の単語との組合せを考える
 - 正確なタイピングをする人の動画、リプレイを見る
 - リズムの分割位置を変えて、ミスしやすい動きを減らす ex)oti oti→otio ti
 - ミスしやすい単語を集めた練習
 - 運指のブロック(部品)のバリエーションを増やして組立を早くする(特にJISかな)
 - コンセプト毎でワードを集めて、まとめて練習 ex)でれでれ わざわざ


◆結局、成長していくために、どっちがいいのか? どのぐらいが最適なのか?
 - モチベマンかどうかにもよる(そもそも楽しいやり方じゃないと続かない)
 - テル…ミス一桁ぐらいをベースに、色々試行錯誤して調整するといいんじゃ?
 - 司さんを見てると、自分もミスを減らした方がいい気がしてくる?
 - ミス少なめベースがいいと思う 不調も少なくなると思うし
 - ミスが少ない方が加速はできないけど、ゾーンに入ったときと近い体感ができる?
 - 短期的に実力を超えた記録を出すには乱打が前提?
 →テルはそれには反論した 自分の打鍵スタイル以上の乱打をしても更新しにくいと思う 逆に乱打のが速度が出るなら、乱打ベースでいつも練習してみてもいいのでは?



結論出てなくね?

いや、それでいいんです。結論を出すつもりはないんです。
私も、他のみんなも、「正確性」とか「ミス」とかいうものについて、もっと理解を深めて、結局最終的にみんなが欲しがってる「更新」にもっと近付けるといいなあ、って思ってます。

ということで今日はここまで!

ディスカッション配信はすごく面白くて盛り上がったので、また実施しようと思います!

この記事だけだと分かりにくかったかもしれませんが、配信を聞いてると色々分かって楽しいと思います。
ぜひ、タイムシフトを見てください。また、次回の配信に参加して意見を下さい!
次のテーマも募集中!

コメント

  1. とても楽しい配信、ありがとうございました。参考になる部分も多くあり、タイピングのモチベーションが更に上がりました。

    次回のテーマ、基本的にはどんな内容でも面白いとは思うのですが、たとえば今回の「乱打」と「正確性」を踏襲するなら、
    ・「標準運指」と「最適化」
    ・「初速」と「加速」
    などのテーマで、色々な意見が聞いてみたいです。

    あるいは今回のミスの話から広げるなら、「タイプウェルでかすりミスが許容されることによる英文実用入力への影響」など、タイプウェルに限定しない、たとえば英文実用入力におけるミスと速度の話なども関心があります。

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